ご存じ浦島太郎

今年は、大震災による津波や台風や長雨による大水害と、水による脅威をいやというほど見せつけられた年でした。

 

水にまつわる日本舞踊も沢山ありますが、長唄浦島は、その中の一つで、海の底の龍宮城から帰ってきた浦島太郎の話です。

この舞踊の眼目は、何といっても、龍宮城から村に戻った浦島太郎が、乙姫様を想いながら土産に貰った玉手箱を開けると、白煙が出て一瞬にして白髪の老人になるという場面でしょう。

浦島太郎は、早替わりで老人になりますが、その方法は、舞台上で衣裳を引き抜き、頭も一瞬で白髪になります。

 

面白いのは、かつらの仕掛けです。

実は、浦島太郎のかつらの内側に白髪のかつらが仕込んであるのです。

いわば、かつらの2枚重ねです。

舞台上で、後見(踊り手の手伝いをする人)の陰に隠れながら、浦島太郎のかつらを剥ぐ(紐を引くと外側のかつらが分解するようになっている)と白髪になるという寸法です。

 

この時、白髪のかつらには、白い眉毛が隠されていて、元々の黒い眉毛の上に被せます。

こうして、あっという間に白髪の老人になるわけです。

ですから、顔師としては、浦島太郎の顔を作れば用無しで、後は、舞台上で後見が、老人に変身させます。

 

誰が考えたものやら、日本舞踊って奥が深いですね。

 

さた、今年もいよいよ押し迫ってきましたが、来年こそ、大地も暴れず、水も穏やかに人々に潤いを与えてくれる年であってほしいと願うばかりです。

 

皆様、良いお年をお迎えください。