顔師の化粧品作り

顔師は、化粧品を自分で作る場合が多いです。

一番の理由は、市販されていないものが多いということ。

仮に、市販されていても、使いものにならないとか、理由は様々です。

 

今回は、水溶きの口紅と油紅の私の作り方を紹介します。

私のと念を押したのは、文字通り私が、編み出した方法であり、業界では、誰もやっていないからです。

これは、本来、かなり企業秘密ですが、顔師を目指す人(そんな人いないかなあ)のために、広く大きな心で発表しちゃいます。

 

水溶き紅は、昔は、京紅として市販されていたので、自分で作ることはありませんでした。

しかし、十年位前から(いや、もっとかな)作り手がいなくなって、市場から完全に消滅しました。

手元に、一本だけ残してあるのですが、もったいなくて使えません。超貴重品です。

現在も、大手メーカーのものがあるにはあるのですが、当時使っていた京紅とは、似て非なるものなのです。

色合いが、オレンジがかっていてモダンなので、古典舞踊の化粧に、どうもしっくり合いません。

 

市販の口紅にコチニール(食紅の原料で、これだけで口紅を作ると、赤を通り越してどす黒くなる。)を混ぜて色合いを調節していましたが、昨年、彩雲洋紅に出会ってからは、専らこれを使っています。

彩雲洋紅は、混じりけのない純粋な赤色が出ます。

彩雲洋紅のことは、昨年、6月にアップした顔師のカテゴリの「思いがけない出会い」に載っていますので、興味のある方は、併せてご覧ください。

水溶き紅の作り方

 

用意するもの

○ 彩雲洋紅(画材屋で売っているが、売っている店は少ないかも)

○ 乳鉢と乳棒(乳児に穀物を磨り潰して食べさせたことから由来する名前だそうです)

○ グリセリン液

○ パレットと練り棒

 

作り方

1 乳鉢に彩雲洋紅を適量入れる。(多すぎると鉢からこぼれる。あたりまえか。)

2 乳棒で、微細な粉末になるまでよく磨り潰す。

3 パウダー状になった彩雲洋紅をパレットに移す。

4 その中に適量(またですけど、料理と違って何グラムとかの目安はあり
     ません。高田純次です。その心は、適当)のグリセリン液を注ぎ、よく
     混ぜる。

  *最初は、全く混じり合わないが、15分ほど根気よく練り続けること 
        で、やがて混じり合う。

5 混ざってあんこ状になったら完成。硬さは、グリセリン液で調節する。

6 密閉できる容器に入れて保存する。(乾燥すると粉に戻るので)

 

7 水で溶きながら使う。

油紅は、目張り(目尻を赤くする)や隈取などに使い、一番消費量が多いものです。

これは、、全く市販されていないので、顔師が、作ります。

私も、先輩から作り方を教わりました。

 

材料は、本洋紅という粉末で、画材屋で簡単に入手できます。

ちなみに、油煙(ゆえんと読み、桐の木を燃やして出るスス。画材屋で売ってます。)を材料にして油墨を作りますが、油紅に適量(またですけど)の油墨を混ぜて茶墨を作ります。

油墨と茶墨は、眉を引いたり、隈取に使います。

化粧の仕上げは、これらの油紅、油墨、茶墨の三色でほとんどを行いますが、このあたりのことは、当ブログの顔師のカテゴリの昨年7月の「椿油」に載っています。

 

今回は、その油紅を本洋紅ではなく、彩雲洋紅で作ります。

使ってみると何だか、こっちの方がいいみたいなので。それに、業界で私だけというのも、なんだか、優越感を感じるし。(自己満足かなあ?)

 

油紅の作り方

 

用意するもの

○ 彩雲洋紅

○ 乳鉢と乳棒

○ 椿油(水油でも可)

○ 鬢付け油(少々)

○ パレットと練り棒

 

作り方

1 彩雲洋紅を乳鉢で微粉末にし、パレットに移すところまでは、水溶き紅と同じ。

2 これを適量(また、またですけど)の椿油で練り、あんこ状にする。

  *椿油は、グリセリン液より粘度が強いので、すぐに混じります。

3 粘り気を出すために、少量(これもファジーです)の鬢付け油で更に

練り、まんべんなく混じり合ったら完成。

4 容器に入れ、保存する。(油ベースで乾燥しないので、密閉容器で
      なくてもよい)

5 使うときは、筆に椿油(水油でも可)を含ませて、油紅を溶かしながら使う。

 

*油墨も、作り方は、油紅と一緒です。

 

という訳で、手に塗って色をチェックです。

下が、水溶き紅で、上が、油紅です。

あーあ、企業秘密を惜しげもなく全世界に教えちゃった!!

 

おしまい。